干しそば

干しそば」というのは、スーパーなどで売られている乾麺のそばのことである。 

 

蕎麦には蕎麦粉100%の十割蕎麦(とわりそば、じゅうわりそば)や二八蕎麦(にはちそば)などがよく知られる。 

二八蕎麦の場合、小麦粉:蕎麦粉の割合が2対8であるということだ。 

これらは生蕎麦として、である。 

 

スーパーで乾麺の蕎麦を見てみると、十割蕎麦があった。 

原材料には蕎麦粉のみが記されている。 

 

他の製品を見ると、蕎麦粉が先のものと、小麦粉が先のものがある。 

原材料はその割合が多いものから書かれるので、蕎麦粉が多いか小麦粉が多いかが判る。 

 

JAS規格によると、干しそばとは、蕎麦粉を使った乾麺だとある。 

その内、蕎麦粉が50%以上(つまり、先に書かれる)ものを「上級」、40%以上のものを「標準」としている。 

意外に蕎麦粉が少なくても良いようだ。 

 

ある安価な干しそばで愕然とした。 

正直な表示なので好感が持てるが、蕎麦としてはどうかというものである。 

その表示は「蕎麦粉 25%」(正確な表現は忘れたが)だった。 

 

実は、JAS規格では、少しでも蕎麦粉が含まれれば「干しそば」という表示が可能なのだ。 

ちなみに、生めんの場合、「生めん類の表示に関する公正競争規約」によって30%以上の蕎麦粉を使用していなければならないことになっている。 

蕎麦粉25%の干しそばは許されるが、蕎麦粉25%の生めんそばは許されないのだ。 

 

他のつなぎ(山芋・自然薯・海藻)の原価もあるだろうが、概ね、蕎麦粉の使用率の高いものが高価である。 

乾麺でも十割蕎麦のものには「そば湯が楽しめる」という記述があった。 

そういったもの以外では、干しそばでのそば湯は臭いだけで飲むものではないだろう。 

 

 

蕎麦はさておき、問題はつゆ(付け汁)にもある。 

味を大きく左右するのは、麺とつゆなのは明白だ。 

 

乾麺とつゆがセットになったもの(贈答用など)があるが、モノによってはそのつゆが美味くない。 

蕎麦屋が美味いというのは、麺とつゆが合っているからで、そのつゆ自体も手間をかけて作ったものだからだろう。 

そんなつゆを濃縮することはありえず(濃縮過程で味が損なわれる)、似せて作ったつゆの素をお湯で薄めているのでは、店の味と同じになるはずもない。 

 

 

そばつゆの作り方として、まず「かえし」を作る。 

このかえしには「本がえし」「生がえし」「半生がえし」がある。 

 

本がえしでは、醤油と砂糖を一緒に加熱(80℃程度)し、瓶に入れて熟成させる。 

生がえしは、砂糖を少量のお湯(とろ火)で煮溶かし、加熱していない醤油と合わせ、瓶に入れる。 

半生がえしは、生がえしの湯を醤油にし、つまり一部は加熱した醤油、残りは加熱していない醤油のまま合わせ瓶に入れるのである。 

 

貯蔵すること4日から1週間で使えるものとなる。 

これは、砂糖と醤油が馴染むために必要な時間だ。 

ちなみに、更級系・砂場系は本がえし、藪系は生がえしだそうだが、これは蕎麦に合わせたものだろう。 

 

これに「出汁」(だし)を合わせるが、出汁は濃いものが良い。 

そのため、削り節(鰹節や鯖節など)は厚くし、加熱に耐えられる状態にする。 

 

かえしと出汁とみりん少量を合わせ1晩置き、それを「土たんぽ」(つちたんぽ)に入れ1時間ほど湯煎し、自然冷却しながらまた1晩置いて、やっと店に出せるものになる。 

つまり、かえしを作り始めてから、6日から9日ほどかかる。 

 

このどこにも、水(湯)で薄めることがない。 

 

濃縮されたものは、本格的なかえしと濃い出汁を使ったとしても、補完する化学調味料・添加物を加え、数倍にただの水(お湯)で薄めるのだから、味が違って当然だろう。 

 

 

そばつゆは麺打ちと違い、自宅でも試すことができる。 

かえしは醤油と砂糖(みりんを少量加えてもよい)なので、作り置きして冷蔵庫に保存可能だ。 

常温に醤油を置いて置くより長く持つのは当然だろう。 

 

鰹節・鯖節(できるだけ荒い削りが良い)を強火で10~15分煮出す。 

鰹出汁の取り方から見るととんでもないが、そば用はこれでいいのである。 

かえしと合わせ、冷蔵庫に一晩置いて食す。 

出汁と合わせたものは長期保存はできないので、1週間以内には消費するようにしたい。 

 

当たり前だが、顆粒だし(出汁の素)などを使ってはいけない。 

めんつゆがなく窮余の一策というのなら致し方ないが。 

 


スパゲッティ(パスタ)  <前 : 次>   腐ることと食中毒
Link and Track Back URL :
日本語を含まないか、当URLを含まないトラックバックは受理されません。管理者確認後に表示となります。


Comments

コメントをどうぞ   日本語を含まないものは受付られません。タグは無視されます。管理人確認後に表示となります。
お名前
URL (表示されません)
メールアドレス (表示されません)
タイトル
コメント (必須)


Track Backs